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「白鯨」

物凄い充実感!!!何故かと云うと、再読に1年以上かかっていたメルヴィルの「白鯨」をやっと昨夜読み終えたからだ。

もう10年以上前になるけれど、サマセット・モームの10大傑作小説を制覇しようと試みて、一番難しかったのがこの白鯨だったので、もう二度と読み返すことはないだろうと思っていた。

小説は好きだけれど、鯨や捕鯨の論文みたいなものは興味がなかったのにそれを再度手に取ってみたのは、他に再読する本がもうあまりなかったことと、一度読んではみたものの、内容を理解したとはとても言い難かったからだ。

けれど、読む前から壁にぶつかるのは分っていたので、今回は物語よりも鯨と捕鯨に関して理解を深めようという気持で読むことにした。

この秋、パリの自然史博物館を訪れたのも、何を隠そう、実物大の鯨の巨大さを実感したかったからだ。
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それでも、今回もスラスラ進むにはとても困難な小説だったが、それだけに読み終えた後は山登りで山頂にたどり着いた時の爽快さに似ている。

今となっては鯨に対して並々ならぬ親近感を抱いているし、機会があればぜひとも鯨の料理を食べたいと思っている。。。と、話は逸れたが、分厚い2巻分の1000ページに及ぶ大小説も、おおまかな物語の進行は100ページくらいで事足りてしまう。

後は全て、鯨について、捕鯨について、白鯨について、白い色の恐ろしさについてなど事細かく書かれていて、文体も「白鯨をば、」なんて読んでいる方が気恥ずかしくなるような古い訳のままだ。

けれど私は、ラストの白鯨(モビーディック)追撃の三日間を、一晩一晩コパンに音読して聞かせたくらい、自分でもクライマックスを楽しんで味わっていた。(コパンには迷惑な話だったと思うけれど。。。)

鯨を人間が銛や槍を投げて捕鯨していた時代。3つのボートにそれぞれ一等航海士、二等航海士(銛打ち)、その他の漕ぎ手で構成されているとか、運よく仕留めた鯨を、本船の船体よりも巨大な鯨の脂をどうやって採取するのか、それを文字のみの説明で細かく理解して想像していく過程は、書いた人はもちろんだけれど、読み手の私にもかなりの情熱が必要だった。

この本を皆さんにお勧めしようとは特に思わないけれど、こういう海と空と鯨と男達の厳しい物語の中にもうっとりするような美しい文章は存在する。それは繊細な感情の表現や、華やかな社会や生活、様式美の中でふわふわ浮いているような上品な美しさとは全く異なるけれど、時にはそれよりもはるかに胸に響くこともあると私はここに書いておきたい。


by kuma-rennes | 2013-12-06 04:38 | 詩/感想文
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